各業界の特徴 総合化学編
総合化学業界の特徴
総合化学業界の特徴は下記の通りです。
石油化学事業を営むため、景気循環型の特性がある
石油化学事業は設備を多く必要とするため、総合化学業界は生産設備建設へ多くの投資を行っています。
また、大規模な施設でもあるため建設は長期になります。
そのため、製品需要の変化に対して柔軟な調整は難しく、景気が良い時は業績が良くなりますが、景気が悪化すると供給が上回り業績悪化に繋がります。
その結果、景気に合わせて業績や株価が変動する景気循環型の特性を持つことになります。
株式投資をするなら、業績好調時(perが割安)は売り、業績悪化時(perが割高)は買いとなることを意識しましょう。
マクロ指標として原油価格の影響を受ける
石油化学事業の原材料はガソリンの一種である「ナフサ」であり、ナフサは原油を蒸留分離することで得られます。
つまり、ナフサの価格は原油価格に連動し、石油化学事業も原油価格に連動するのです。
そのため、ナフサの価格が急騰すれば石油化学製品の値上げが追い付かずにコスト増による利益の縮小が発生します。
一方で、原油価格の高騰は石油化学製品の需要を急激に押し上げる要因にもなります。
原油価格が高騰する場面では、今後の値上げに備えて石油化学製品を買いだめする動きにつながり、売上増につながるのです。
結果として、一時的には利益縮小となるものの、需要増により売上増、その後に供給不足による値上げが可能となり、原油価格の高騰は石油化学事業に良い影響を与えることになります。
原油価格の急落はその逆の動きとなります。
なお、価格の動向に加えて、増産や減産といった数量の動向についても注意しましょう。増産があれば需要が増えているということですし、減産は需要の減少を表します。