各業界の特徴 建設業界編
建設業界の特徴
建設業では下記が特徴的です。
典型的な受注産業
建設業は工事の受注がそのまま売り上げとなります。
工事を受注した時点で1年、2年先といった将来の業績がある程度予測できるため、株価はそのときそのときの業績ではなく、数年先の業績を見越して動く傾向にあります。
そのため、建設業でチェックすべき指標は、ミクロ的視点では分析対象企業の建設工事受注残高、マクロ的視点では国土交通省が毎月出している建設工事受注動態統計結果です。
あと、マクロ的視点として人件費、建材費といったコストの動向もチェックしておくと良いでしょう。
これらの動向を随時チェックし、今後の建設業がどのように成長、衰退していくのか予想することが重要です。
過去の市場規模縮小による人手不足
建設業界は90年代初頭をピークに、市場規模が縮小してきていました。
公共事業予算が大幅に削減されたことも影響していますが、大きかったのはバブルの崩壊でしょう。
市場規模が縮小したことで、建設業に就職する人は激減し、深刻な人手不足に陥いりました。
しかし、現在(2020年4月時点)では、公共投資は底堅く推移、民間設備投資も好調を維持しており、回復基調になってきております。
売上高営業利益率の低迷
先ほど話に挙げた「人手不足」は依然続いており、人件費の高騰、建設業界のコスト上昇、売上高営業利益率の低迷を招いています。
また、建設資材の価格も高止まりしており、建設業界はこれらのコストをどう下げるかが利益率向上の鍵となっています。
競争入札制度
建設工事の多くは競争入札制度が採用されています。
デベロッパーの企画に対して価格競争をすることになり、利益確保が難しくなります。
住宅事業が受ける景気動向の影響
建設業界の企業は住宅事業も営むところがあるため、こちらも触れておきましょう。
建設とは違い、相手が個人という点が重要です。
個人向け住宅は景気や金利、増税などで需要動向が左右されます。
金利が上がる予想が出れば、いまのうちにと需要が増えますし、増税前なら駆け込み需要が起こります。
そのような情勢は常に把握するようにしておきましょう。
また、今後は高齢化社会が到来し、個人向け住宅よりもマンションの需要が大きくなっていくと予想されるなど、マクロ的な視点での観察が欠かせない業界といえます。