人の行く裏に道あり花の山

サラリーマン投資家トシのサクセスストーリー

各業界の特徴 医薬品編

医薬品業界の特徴

医薬品業界の特徴は下記の通りです。

 

  1. ディフェンシブ銘柄
  2. 投資タイミングは景気が悪い時
  3. 企業個別の研究中医薬品で業績は変わる
  4. 既存薬は薬価が下げられつつある

 

ディフェンシブ銘柄

医療への需要は経済動向に関係なく存在するため、景気変動の影響を受けにくく、医薬品業界はディフェンシブな銘柄と言えます。

また、全国民が加入する医療保険制度があるため、個々人の医療費負担は少なく済んでいることも一要因としてあります。

 

投資タイミングは景気が悪い時

ディフェンシブ銘柄であるため、投資のタイミングは、景気が悪くPER的にも割安な時が良いでしょう。

景気が良い時は株価上昇はそこまで期待できないため、大きなリターンを求めるのであれば売るべきです。

 

企業個別の研究中医薬品で株価は変わる

各医薬品企業がこぞって新薬の開発を行っており、この新薬が医薬品企業の新たな収益となります。

医薬品は通常、5年以上かけて開発され、臨床試験を行い、厚生労働省からの認可を得てやっと売ることができます。

各企業がこれからどんな新薬を開発し、販売していくのか、そのシナリオと現状を把握しておくことが重要となります。

インパクトの大きい新薬や、たくさんの新薬が近く認可される見込みであれば、株価の大きな上昇も近いうちに起こる可能性が高くなります。

逆に言えば、認可されなかった時や、販売したけど副作用がたくさん報告された場合などは、負のインパクトが計り知れないです。

その点は医薬品業界のリスクとして把握しておきましょう。

 

既存薬は薬価が下げられつつある

薬は、医師が処方する薬とそれ以外の大衆薬が存在します。

医師が処方する薬は厚生労働大臣が価格を決めており、既存薬については薬価が下げられつつある傾向にあります。

そのため新薬の開発が重要となります。

しかし、ジェネリック医薬品は例外となります。

これは、ジェネリック医薬品は特許切れの医薬品であるという特徴から、そもそものコストが少なく、利益が得やすいという特徴があるためです。

また、大衆薬も、ドラッグストアなどの小売が価格を決定できるため、こちらも例外となります。

各業界の特徴 電子材料編

電子材料業界の特徴

電子材料業界の特徴は下記の通りです。

 

  1. 景気循環する成長株
  2. 投資タイミングは逆張り
  3. 在庫調整がリスクになる
  4. 技術の変化が激しい

 

景気循環する成長株

電子材料は主に、半導体に使われるシリコンウエハー、液晶ディスプレイに使われる偏光フィルム、ガラス基板などを指します。

これらを使った電子機器は次々と新しいものが誕生し、新たな市場も生まれます。

そしてそれに見合う電子材料も高度化していくため、長期的に成長が続く市場となります。

一方で、電子機器は景気変動の影響や、新たな製品が生まれるまでのサイクルもあるため、循環的に需要の増減が起きます。

また、電子材料も電子機器の需要増減に対して供給能力を調整しようとしますが、生産設備を短期間で作ったり壊したりはできないため、長期の時間がかかります。

そのため、電子材料も循環的な業績変動がメインとなります。

 

投資タイミングは逆張り

電子材料株に投資する場合は、循環的に動く株価の高値で売り、循環的に動く株価の底値で買うことが重要となり、成長株の特徴も相まって大きなリターンが得やすいです。

循環的に動く底値というのは、景気が悪く、電子機器の需要が少なく、業績が悪くなり、PERが割高に見えるタイミングです。

PERが割高であっても、景気循環の流れを見ればそこからは業績が回復して成長局面に入るため、一見無謀なタイミングに見えますが、これが結果的に最適な買いタイミングとなります。

循環的に動く高値というのは、景気が良く、電子機器の需要が多く、業績が良くなり、PERが割安に見えるタイミングです。

 

なお、何を持って需要が底をついたか確認するかというと、設備投資の量を監視するのが良いでしょう。

設備投資を多くする状況は、それなりの確度で需要の増大が見込めたタイミングのため、これから成長局面に入っていく公算が大きいということになります。

 

在庫調整がリスクになる

電子材料業界は常に電子機器の需要を監視しますが、需要が少なくなってもすぐに電子機器の生産調整ができるわけではありません。

そのため、需要を見込んで生産量をあげても、実はそれほどでもなかった場合は在庫調整を余儀なくされ、棚卸資産の増大を招くことになります。

 

技術の変化が激しい

次々と新製品が開発され、技術革新が起きる業界のため、常に新技術の研究開発は欠かせないという特徴があります。

ただし、基本的には現時点でシェアを多く握っている企業は情報量が多いため有利というのはあります。

シェアは大抵、徐々に変化していくものですが、シェア数の変動に常に注意を払っておき、技術の変化についていけているかを把握しておくことが重要です。

各業界の特徴 総合化学編

総合化学業界の特徴

総合化学業界の特徴は下記の通りです。

 

  1. 石油化学事業を営んでいるため、景気循環型の特性がある
  2. マクロ指標として原油価格の影響を受ける

 

石油化学事業を営むため、景気循環型の特性がある

石油化学事業は設備を多く必要とするため、総合化学業界は生産設備建設へ多くの投資を行っています。

また、大規模な施設でもあるため建設は長期になります。

そのため、製品需要の変化に対して柔軟な調整は難しく、景気が良い時は業績が良くなりますが、景気が悪化すると供給が上回り業績悪化に繋がります。

その結果、景気に合わせて業績や株価が変動する景気循環型の特性を持つことになります。

株式投資をするなら、業績好調時(perが割安)は売り、業績悪化時(perが割高)は買いとなることを意識しましょう。

 

マクロ指標として原油価格の影響を受ける

石油化学事業の原材料はガソリンの一種である「ナフサ」であり、ナフサは原油を蒸留分離することで得られます。

つまり、ナフサの価格は原油価格に連動し、石油化学事業も原油価格に連動するのです。

そのため、ナフサの価格が急騰すれば石油化学製品の値上げが追い付かずにコスト増による利益の縮小が発生します。

一方で、原油価格の高騰は石油化学製品の需要を急激に押し上げる要因にもなります。

原油価格が高騰する場面では、今後の値上げに備えて石油化学製品を買いだめする動きにつながり、売上増につながるのです。

結果として、一時的には利益縮小となるものの、需要増により売上増、その後に供給不足による値上げが可能となり、原油価格の高騰は石油化学事業に良い影響を与えることになります。

原油価格の急落はその逆の動きとなります。

 

なお、価格の動向に加えて、増産や減産といった数量の動向についても注意しましょう。増産があれば需要が増えているということですし、減産は需要の減少を表します。

各業界の特徴 食品業界編

食品業界の特徴

食品業界には下記のような特徴が見られます。

 

  1. ディフェンシブ銘柄で、業績や株価の変動が小さい
  2. キャッシュフローが豊富
  3. 為替動向、穀物価格などのマクロ経済の影響を受ける
  4. 食の安全を揺るがす問題が起きるリスクがある

 

ディフェンシブ銘柄で、業績や株価の変動が小さい

食品業界は需要が安定的に存在します。

なぜなら、食品は日々の生活で欠かすことができないものだからです。

食べなければ生きていけません。そのため、需要が安定している食品業界はディフェンシブ銘柄であり、業績や株価の変動が小さい傾向にあります。

株式市場が暴騰、暴落していても、他業種と比べて値動きが小さいということです。

 

キャッシュフローが豊富

食品業界は安定的な需要があり、業績も安定しています。

また、大規模な投資もそれほど必要ではなく、キャッシュは貯まりやすい傾向にあります。

そのため、食品業界はキャッシュフローを豊富に持っている傾向があります。

 

為替動向、穀物価格などのマクロ経済の影響を受ける

ディフェンシブな業界ではありますが、マクロ経済の影響も受けます。

原材料を輸入に頼る食品の場合は円高であればコストダウンになりますが、円安であればコスト増加に繋がります。

※ただし、海外に事業をもつ企業の場合は円高だと稼いだお金を円に換算する際に為替差損が発生してしまうため、利益減少になります。

また、穀物などの原材料自体の価格が変われば、コストへの影響は出てしまいます。

食品業界の株式を購入する際はこれらのマクロ経済指標を確認するようにしましょう。

 

食の安全を揺るがす問題が起きるリスクがある

たびたび起きる食の問題に関するニュースは、食品業界の株価下落を起こすリスクがあります。

異物混入などはその最たる例であり、事が大きければ一時的な株価下落では済まず、信用の失墜による業績悪化も免れません。

食品業界はディフェンシブ銘柄ではありますが、このような業界固有のリスクがあることも注意しておきましょう。

 

食品業界は企業毎のキャッシュフローの使い方を評価

ここまで述べた通り、食品業界は業績が安定し、キャッシュフローが豊富で、株価の変動が小さいです。

しかし、今後は国内の市場は少子高齢化により細っていくことが予想され、少子高齢化が進めば、海外の市場をどのように取り込むかが重要になってきます。

そのようなとき、食品業界の各企業がどのように動くか注視しましょう。

 

潤沢なキャッシュフローを使って、海外企業をM&Aしたり、資本提携して取り込んでいく戦略が効果的と言えます。また、自社株買いや配当などの株主還元を行うアクションもあるでしょう。

もちろん、そのようなアクションを起こすには経営者の手腕が問われますし、私たち投資家も、各企業の経営者やキャッシュフローの使い方を評価する必要があります。

 

各業界の特徴 建設業界編

建設業界の特徴

建設業では下記が特徴的です。

  1. 典型的な受注産業
  2. 過去の市場規模縮小による人手不足
  3. 売上高営業利益率の低迷
  4. 競争入札制度
  5. 住宅事業が受ける景気動向の影響

 

典型的な受注産業

建設業は工事の受注がそのまま売り上げとなります。

工事を受注した時点で1年、2年先といった将来の業績がある程度予測できるため、株価はそのときそのときの業績ではなく、数年先の業績を見越して動く傾向にあります。

そのため、建設業でチェックすべき指標は、ミクロ的視点では分析対象企業の建設工事受注残高、マクロ的視点では国土交通省が毎月出している建設工事受注動態統計結果です。

あと、マクロ的視点として人件費、建材費といったコストの動向もチェックしておくと良いでしょう。

これらの動向を随時チェックし、今後の建設業がどのように成長、衰退していくのか予想することが重要です。

 

過去の市場規模縮小による人手不足

建設業界は90年代初頭をピークに、市場規模が縮小してきていました。

公共事業予算が大幅に削減されたことも影響していますが、大きかったのはバブルの崩壊でしょう。

市場規模が縮小したことで、建設業に就職する人は激減し、深刻な人手不足に陥いりました。

しかし、現在(2020年4月時点)では、公共投資は底堅く推移、民間設備投資も好調を維持しており、回復基調になってきております。

 

売上高営業利益率の低迷

先ほど話に挙げた「人手不足」は依然続いており、人件費の高騰、建設業界のコスト上昇、売上高営業利益率の低迷を招いています。

また、建設資材の価格も高止まりしており、建設業界はこれらのコストをどう下げるかが利益率向上の鍵となっています。

 

競争入札制度

建設工事の多くは競争入札制度が採用されています。

デベロッパーの企画に対して価格競争をすることになり、利益確保が難しくなります。

 

住宅事業が受ける景気動向の影響

建設業界の企業は住宅事業も営むところがあるため、こちらも触れておきましょう。

建設とは違い、相手が個人という点が重要です。

個人向け住宅は景気や金利増税などで需要動向が左右されます。

金利が上がる予想が出れば、いまのうちにと需要が増えますし、増税前なら駆け込み需要が起こります。

そのような情勢は常に把握するようにしておきましょう。

 

また、今後は高齢化社会が到来し、個人向け住宅よりもマンションの需要が大きくなっていくと予想されるなど、マクロ的な視点での観察が欠かせない業界といえます。

株式投資における暴落時の売買のタイミング

暴落時の売買

私は暴落時こそ、株式投資における最高の買い場だと考えています。

暴落の理由によるところはありますが、全企業が右ならえで暴落したとき、実業務には何も影響がないのに暴落する企業があります。

そういった企業は、暴落が落ち着くと元の株価まで戻す動きになるため、暴落した底値で買うことができれば、非常に良いリターンが得られます。

 

例えば、株価が1,000円の企業が50%下落して500円になり、そのタイミングで購入できたと仮定します。

元の株価に戻った際、買った株は倍の金額になっています。

暴落時の買いの強みは、下げた以上の利益が得られる点でしょう。

 

暴落時に買うタイミング 分散買い

ではいったいどのタイミングで買えば底値になるのか?

それは、厳密にはわかりません。

それができたなら、みんな億万長者です。

少なくともヒントのようなものはありますが、正直みんな手探りです。

 

ただ、底値に近いところで買う方法はあります。

それは、分散して買うことです。

底値だ!というタイミングで全額を突っ込んでしまっては、万が一そこからさらに下げたとき、どうしようもなくなります。

買うタイミングを分散することで、ぴったり底値で買えないにしても、近しい金額で買うことを目指すのです。100点ではなく、80点くらい。

 

例えば、100万円持っていたとします。元は1,000円の株価が、もうそろそろ底値かなーと感じた600円まで下がったところで400株購入します。

そこからさらに50円下げました。そこで600株購入します。

まだまださげて、500円になりました。そこで600株購入します。

するとやっと底をつけたのか、530円に上がりました。ここで300株買います。

さあ、平均していくらでいくつ買えたでしょうか?

 

合計金額 : 600円×400+550×600+500×600+530×200 = 986,000円

合計株数 : 400+600+600+200 = 1,800株

平均購入金額 : 986,000 ÷ 1,800 ≒ 548円

 

底値の500円で買えれば、2,000株買えたでしょう。しかし、そんな神がかりな投資は不可能です。

分散購入したことで、底値に近しい金額で買えました。

これなら、元の金額まで戻した時のリターンは

 

(1000 - 548) × 1,800 = 813,600円

 

実に、80%以上の利益が出ています。

500円で全額購入できていれば1,000,000円の利益が出たでしょうが、理想と比べて80%も取れたら十分ではないでしょうか。

 

暴落時に買うタイミング 底打ちのヒント

そうはいっても、そろそろ底値かなーなんて、わからないという方はいると思います。

感覚に頼るのでは投資家としてどうだろう、というのもわかります。

ただしこれも、大まかに底値を探る方法はあるのです。

 

例えば、いま大問題となっている新型コロナウイルス

これによる暴落はいつ底値を打つのか。

その指標となるのが、各国の新規感染者数の推移です。

 

毎日の感染者数をチャートにしたものをみてみると、ある国では収束に向かい、ある国ではまだ増えていっている、といった状況が見て取れます。

新規感染が世界的に収束している傾向が見られたタイミングが、ひとつの買うタイミングになるのです。

株価は未来の予想を織り込んで動きます。そのため、収束に向かい始めたタイミングではすでに上昇が始まっているかもしれませんが、それであれば先程の例のように、打診買いで少量を買い始めれば良いのです。

 

ほかには、著名な投資家の動向もヒントになります。

例えば、かの有名なウォーレンバフェットです。

バフェットが買いを入れ始めたタイミングが底値だと考え、打診買いを始めるのもひとつの手でしょう。

 

探せば、底値かなと思うヒントは転がっています。

そのときそのときに応じた底値のシグナルを自分で定義し、観察する癖をつけましょう。

 

暴落時に買うタイミング 過去のチャート

過去のチャートからも学べることはあります。

過去にも似たような暴落は発生しています。その時のチャートを見て、どのタイミングで株価は下がり始め、底を打ち、あがりはじめたのか、分析して今の投資に活かすことは可能です。

底値を打った時の状況、高値に戻った時の状況を分析すれば見えてくるものもあります。

 

暴落時に持っている株を売るタイミング

あと、暴落時に持っている株を売るタイミングにも気を付けましょう。

暴落時に売るケースは大きく2つあり、元々保有している株式を売却するケース、暴落時の買い向かったタイミングが悪く、分散買いではなく一時撤退するケースです。

 

どちらのケースにしても、次のシナリオがどうなるか、株価がどちらの方向に向かうのかがある程度明確になったときに売却の判断をする必要があります。

 

元々保有している株が、株式市場全体のマイナスを受けて、まだまだマイナス要因の解消見込みが見えず、悪化していくことが目に見えている場合は、我慢して持ち続けることはありません。

悪化するのが目に見えているのであれば、当分は下がり続けると判断し、売却するのはありです。

また、買うタイミングが早すぎて、まだ底値でもぜんぜんないところで買ってしまった場合も、当初思い描いていたシナリオが崩れ、マイナス要因の悪化がわかったタイミングでいったん売るというのもありです。

 

要は、次の方向性が下がる方向だとある程度読めた時は、迷わず売れば良いのです。

もちろん株は思った通りにはいかないでしょうけれど、少なくとも、自分の考えをもって投資の売買のタイミングを決めて欲しいのです。

決して、周りの空気に流されてとかいう理由でやってはいけません。失敗した時、お金以上に、精神的ダメージを負い、得られる経験もなく、ただのギャンブルと化してしまうからです。

 

暴落後に買った株を売るタイミング

買った株を売るタイミングは、自分の思い描いていたシナリオの通りになったとき、自分のシナリオが崩れた時、想定外の事態が起こった時です。

常に、株を買う前に売るタイミングをシナリオとして考えておく癖をつけましょう。

そして、シナリオが崩れた時の動きも決めておくようにしましょう。

完全子会社、連結子会社、持分法適用子会社などの会社の繋がり

完全子会社とは

株式を100%保有し、議決権を100%有した状態を完全子会社といいます。

実質的に親会社の完全支配下となります。

 

連結子会社とは

基本的に株式の50%以上を保有し、議決権を50%以上有した状態を連結子会社といいます。

実際には、子会社へのどれだけの支配力を持っているかで最終判断します。

なお、保有する株式比率に応じた資産や負債、損益(売上から純利益まで)がすべて親会社に反映されます。

 

持分法適用子会社とは

持分法適用子会社は、非連結子会社や関連会社といった、20%〜50%の株式を保有する企業のことを指します。

ただし、必ず20%〜50%というわけではなく、影響力をもつ議決権があれば持分法適用子会社となります。

例えば、役員を派遣していたり、取引の販売や仕入先になっていたり、借入などの資金面の関わりがあるなどした場合です。

 

親会社は連結財務諸表を作る際、保有する持分法適用子会社の株式の比率分を資産として計上できます。

また、親会社は持分法適用子会社の当期純利益のうち、持株比率をかけた金額を営業外収益として計上できます。

しかし、逆に赤字を計上すればそれも反映されてしまいます。

 

子会社を作るメリット

子会社を作るメリットとしてはいろいろあり、どれだけ子会社への支配力を有しているかでその享受するメリットの大きさが変わります。

 

ブランド力の向上

子会社が高いブランド力を誇る場合、親会社もそのブランド力の影響で広く知ってもらえるという効果が得られます。

 

技術や販売網の活用

子会社の技術や販売網を活用し、親会社の事業を有利に進めることができるようになります。

 

損益計算書への影響

子会社の株式の保有比率によりますが、子会社の業績や資産が親会社に反映されるため、財務諸表に好影響を与える可能性があります。

 

子会社を作るデメリット

子会社を作るデメリットとしては、子会社が赤字を出した場合は親会社もその赤字が反映されてしまう点が大きいでしょう。

あとは、一時的ではありますが、子会社化するには株式取得の費用がかかるため、バランスシートが悪化する可能性があります。

経営統合とは

経営統合とは

2社以上の企業が共同で持株会社(新会社)を設立し、それぞれの企業がその傘下に入ることを経営統合といいます。

よく聞く「◯◯ホールディングス」というのが持株会社のことです。

 

経営統合前】

X会社

Y会社

 

経営統合後】

XYホールディングス(新設の持株会社)

 ┗ X会社

 ┗ Y会社

 

持株会社XYがX会社、Y会社の株式を全て保有するため、X会社、Y会社は子会社となり

、XY会社に統制されることになります。

 

経営統合のメリット

経営統合のメリットとしては下記が挙げられます。

  • 事業ポートフォリオが分散され、不景気などにおけるリスクを減らすことができる
  • 親会社が子会社をまとめて管理するため、統制が取りやすい
  • 子会社間で競争が起き、人材の成長につながる

 

もちろん、逆に言えばうまくできなかった場合は反対の効果を発する可能性もあるため、いかにうまく経営できるか、経営者の手腕にかかっています。

経営統合がなされる場合は株主総会などで経営者の手腕を確認するようにしましょう。

業務提携とは

業務提携とは

資本提携とは異なり、資産の移動が起きない提携のことを業務提携といいます。

資金や技術といった経営資源を分け合って共同で事業を行い、シナジー効果を得ることを目的とします。

 

業務提携のシナジー効果

業務提携のシナジー効果には例えば下記のようなものがあります。

  • 技術を借りて新製品の開発を行う
  • 共同で事業を行なってコスト削減する
  • 販売網を活用させてもらって全国展開

 

このようにさまざまなシナジー効果が期待できます。

 

業務提携のリスク

ただし、業務提携にはリスクも存在します。

例えば自社の技術やノウハウが流出したり、共同事業がうまくいかず相手とトラブルになったり、利益配分で揉めたり、、、

業務提携をする際は十分に準備を行い、リスクに備える必要があるのです。

第三者割当増資とは

三者割当増資とは

特定の第三者に新株を発行し、増資することを第三者割当増資と言います。

相手は株主であるか否かを問いません。取引している金融機関や企業、役職員に関わりのある人などが多いです。

なお、新株を現状の株価よりも安く発行する場合は株主総会で理由を説明し、決議を取る必要があります。

 

三者割当増資の効果

三者割当増資は、増資を募る相手との関係性を良くしたり、株価が下がっていて普通の増資がしにくいときにもやりやすいといった効果があります。

また、企業からの第三者割当増資の場合はシナジー効果も期待できます。

 

三者割当増資の株価への影響

ただし、株価への影響は増資の理由により変わります。

増資が前向きな理由、例えば新規事業立ち上げや技術開発などの成長を目指すものであったり、シナジー効果が期待できるものであれば株価は上昇する傾向にあります。

一方、悪化した財務を改善するためなど、ネガティブな理由の場合は株価が下落する傾向にあります。

三者割当増資が発表された場合はその理由を確認する癖をつけましょう。

各業界の特徴 ドラッグストア編

ドラッグストアの財務諸表の特徴

ドラッグストア業界は主に下記の特徴があります。

  1. 資金調達は支払手形や買掛金などの無利子負債で行う
  2. 店舗での販売がほとんどで現金収入が多い
  3. 買掛金が多いため、短期借入金が少なく自己資本比率が高め
  4. 売上原価が低く、販管費が高め

 

資金調達は無利子負債

ドラッグストアはメーカーへの強い発言力を有しており、仕入れは買掛金や支払手形で済ませられることが多いです。

そのため、有利子負債である短期借入金に頼らない有利な経営が可能になります。

 

現金収入が多い

棚卸資産(在庫)を多く抱える傾向はありますが、店舗での現金収入がメインであり、負債は買掛金がほとんどのため、資金繰りに困りにくい体質です。

また、売掛金も少ない傾向にあります。

 

自己資本比率が高め

先ほど説明した通り、有利子負債が少なく無利子負債が使えるため、資産に対する負債の量を通常より少なくでき、結果、自己資本比率を高めることができています。

 

売上原価が低く販管費が高め

ドラッグストアで扱われる一般用医薬品(OTC医薬品と呼ばれる)は粗利率が40%と非常に高い商品です。(医師が処方する医療用医薬品とは異なります)

そして、ドラッグストアは医薬品の安売りは消費者のイメージを下げる行為として行わず、またどのドラッグストアも共存する姿勢を貫くため、粗利率が下がりません。

その結果として、売上原価が低くなるのです。

ただし、ドラッグストアも売り込む戦略、営業はしないといけないため、その分の販管費が高くなる傾向にあります。

資本提携のメリットとデメリット

資本提携とは

資本提携とは、別の企業の資本を受け入れたり、提携する企業に資本を投入したりして資本を持ち合うことを言います。

お互いに増資して株式を交換し合うことで行うことが多いです。

そのため、資本提携は業務提携と比べて強固な関係を築きやすい提携となります。

 

なお、資本提携は一般的に、M&Aといった買収(発行済み株式の過半数を取得)や、拒否権確保(発行済み株式の3分の1を取得)まではいかない出資比率で行うことが大半です。

ただし、資本提携した後、最終的にM&Aに至るケースもあります。

 

資本提携のメリット

資本提携のメリットは資産や売上に対してシナジー効果を生み出しやすい点です。

お互いに増資しあって株式を売買するため、実質的にはコストがかからず、資金がなくてもできる点もメリットです。そのため、中小企業でも規模を大きくする際に使いやすい方法となります。

一般的に、資本提携が発表されたときはシナジー効果を期待して株価が上昇する傾向にあります。

 

資本提携のデメリット

資本提携のデメリットは、他社が経営に関わってしまうことです。

これはメリットにもなり得ますが、他社が経営に関わるときにうまくやっていけるかどうか、経営者の腕の見せ所ではありますが、簡単に解消もできないのでそれなりにリスクが伴うのです。

各業界の特徴 電鉄業界編

電鉄業界の財務諸表の特徴

財務諸表の各指標には標準値というものがありますが、それはあくまで業種や個別の事情に関係なく見た場合の基準であり、例外が存在します。

今回挙げる電鉄業界はその例外となる良き例となります。

 

電鉄業界には大きい特徴が2つあります。

  1. 業績が安定している
  2. 資金繰りが楽である

 

まず、業績が安定していることですが、これは公共性の高いインフラ事業であることが大きな要因となっています。

会社に通勤する際、電車を利用する人はどれくらいいるでしょう。ほとんどの人は少なからず利用した覚えがある、または利用しているのではないでしょうか。

みんなが必ず利用するなくてはならないサービスは収益が安定します。逆に言えば、安定しているというのは、売上を伸ばしにくいといった特徴にもなります。

そのため、電鉄業界は本業である交通、運輸業で安定した収益を出し、その付帯事業として不動産業を行い、売上を伸ばそうとする特徴があります。

しかしまたまた、賃貸用の不動産などは安定した収益を生み出しやすいため、電鉄業界は付帯事業自体も安定しやすい傾向にあります。

つまり、電鉄業界は業績が安定する傾向にあり、不況期にも売上を下げにくい特徴があります。

 

次に、資金繰りが楽という特徴ですが、これは日銭が入るからです。

鉄道を利用する際は切符を買いますが、基本は先払いです。プリペイドや定期券も先にお金が入り、売掛金が非常に小さくなります。

そのため、電鉄業界の企業は借金返済の際にまだお金を回収できていないといった事態が

起こりにくく、資金繰りが楽なのです。

また、電鉄事業は大きなインフラを抱えるため、資産の大半は固定資産です。そのため、一般的には120%あれば良いとされる流動比率が40%を切るなど、非常に小さい数値になる傾向があります。

さらに、資産回転率も1.0倍が標準ですが、電鉄業界はその大量の固定資産を保有しているため、0.2倍程度まで低くなる傾向があります。

 

まとめると、電鉄業界は業績が安定し、短期的な資金繰りにも困りにくく、安全性の高い業界ということになります。

ただし、1点だけ注意点があります。

業績が安定しているというのは、本業がメインの場合です。企業によっては不動産業やレジャーがメインとなる企業もあり、景気が悪化すれば影響を受け、途端に資金繰りが厳しくなるケースもあります。

その企業の安定性をみるなら、その企業がどんな事業を営んでいて、それぞれが全体に対してどれくらいの売上、利益を占めているのか、主要な事業はなんなのかを把握するようにしましょう。

純資産の内訳

純資産の内訳

純資産は、資産のうち返済義務のないものであり、株主のものです。

純資産は細かく分けると「株主資本」、「評価・換算差額等」、「新株予約権」、「少数株主持分」に分かれますが、中小企業は「株主資本」だけの場合がほとんどであり、それ以外は大企業の場合に現れます。

結局、純資産の内訳のほとんどは「株主資本」です。

 

株主資本

株主資本は「資本金」、「資本剰余金」、「利益剰余金」、「自己株式」に分けることができます。

 

資本金

株主が最初に出資した元手となる資金のことです。

 

資本剰余金

資本金にならなかった余りの資金のことです。

出資された資金すべてが資本金になるわけではなく、余りが生じた場合は資本剰余金として扱われますが、元手であることには変わりありません。

 

利益剰余金

これまでの利益を蓄積した金額。

利益とは当期純利益のことです。

 

自己株式

発行した株式を株主から買い取った株式のこと。自社株買いのこと。

 

利益剰余金の重要性

株主資本の中でも最も重要なものは利益剰余金です。

赤字が出れば利益剰余金はマイナスになりますが、このマイナスが続いて大きくなり、純資産全体もマイナスになった状態を「債務超過」と呼びます。

債務超過になれば銀行の貸し渋りなども起き、非常に資金繰りに苦しくなっていくでしょう。

しかし、純資産には注意が必要で、純資産が十分にある場合でも、資金繰りが苦しくなる場合があります。

なぜなら、純資産は現金の状態で保持されているかわからないからです。

貸借対照表の資産を見て、現預金や証券などの換金性の高いものではなく、設備などに使われていた場合はすぐに資金繰り解消に使えないため、注意しましょう。

なお、四半期報告書には株主資本等変動計算書がありますが、それを見れば純資産の細かい移動の確認ができます。資金繰りが厳しいときは新株を発行して利益剰余金に移動させて自己資本比率を上げたりすることがあるので、そのようなチェックが可能です。

キャッシュフロー計算書における減価償却費の扱い

キャッシュフロー計算書の減価償却

減価償却費は営業キャッシュフロー計算書の中にプラスで計上されます。

なぜプラスなのか、その理由を説明します。

営業キャッシュフローは税引き前当期純利益を基準に計算を始めますが、税引き前当期純利益損益計算書の中で計算されたものが使用されます。

損益計算書の中では減価償却費を費用としてマイナスするため、税引き前当期純利益はすでに減価償却費がマイナスされてしまっています。

しかし、減価償却費は実際には現金が動かない費用のため、営業キャッシュフロー上で足し直すことで元に戻しているのです。

なお、減価償却している設備投資の費用は投資キャッシュフローの方の「有形固定資産の取得による支出」でまとめてマイナスされます。そこで実際に設備に使った現金をマイナスしているのです。

 

つまり、営業キャッシュフローでは、税引き前当期純利益ですでに引かれてしまっている費用のうち、現金の移動がないものを足し直すのです。そういうものをまとめて非資金損益項目と呼びます。

減価償却費のほかに、引当金繰入額などがあります。