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サラリーマン投資家トシのサクセスストーリー

各業界の特徴 電鉄業界編

電鉄業界の財務諸表の特徴

財務諸表の各指標には標準値というものがありますが、それはあくまで業種や個別の事情に関係なく見た場合の基準であり、例外が存在します。

今回挙げる電鉄業界はその例外となる良き例となります。

 

電鉄業界には大きい特徴が2つあります。

  1. 業績が安定している
  2. 資金繰りが楽である

 

まず、業績が安定していることですが、これは公共性の高いインフラ事業であることが大きな要因となっています。

会社に通勤する際、電車を利用する人はどれくらいいるでしょう。ほとんどの人は少なからず利用した覚えがある、または利用しているのではないでしょうか。

みんなが必ず利用するなくてはならないサービスは収益が安定します。逆に言えば、安定しているというのは、売上を伸ばしにくいといった特徴にもなります。

そのため、電鉄業界は本業である交通、運輸業で安定した収益を出し、その付帯事業として不動産業を行い、売上を伸ばそうとする特徴があります。

しかしまたまた、賃貸用の不動産などは安定した収益を生み出しやすいため、電鉄業界は付帯事業自体も安定しやすい傾向にあります。

つまり、電鉄業界は業績が安定する傾向にあり、不況期にも売上を下げにくい特徴があります。

 

次に、資金繰りが楽という特徴ですが、これは日銭が入るからです。

鉄道を利用する際は切符を買いますが、基本は先払いです。プリペイドや定期券も先にお金が入り、売掛金が非常に小さくなります。

そのため、電鉄業界の企業は借金返済の際にまだお金を回収できていないといった事態が

起こりにくく、資金繰りが楽なのです。

また、電鉄事業は大きなインフラを抱えるため、資産の大半は固定資産です。そのため、一般的には120%あれば良いとされる流動比率が40%を切るなど、非常に小さい数値になる傾向があります。

さらに、資産回転率も1.0倍が標準ですが、電鉄業界はその大量の固定資産を保有しているため、0.2倍程度まで低くなる傾向があります。

 

まとめると、電鉄業界は業績が安定し、短期的な資金繰りにも困りにくく、安全性の高い業界ということになります。

ただし、1点だけ注意点があります。

業績が安定しているというのは、本業がメインの場合です。企業によっては不動産業やレジャーがメインとなる企業もあり、景気が悪化すれば影響を受け、途端に資金繰りが厳しくなるケースもあります。

その企業の安定性をみるなら、その企業がどんな事業を営んでいて、それぞれが全体に対してどれくらいの売上、利益を占めているのか、主要な事業はなんなのかを把握するようにしましょう。